【佳作】生きづらい世界 大玉中学校3年 星結衣香

生きづらい世界
大玉中学校3年 星結衣香
 
 突然だが、「いじめ」について考えたことはるだろうか。誰もが道徳などの時間に、何度も考えさせられたことはあると思う。いじめとは、無視、仲間はずれ、ものをわざと壊すなど、相手に精神的、身体的な苦痛を与えることである。
 ニュースを見ていると、度々中高生が自殺をした、というニュースが流れてくる。調べてみると、十代の自殺は、ほとんどは学校での問題が原因だそうだ。その大半は、いじめではないかと私は思う。ニュースでも、自殺の原因として、「いじめ」という言葉を目にする。自殺を図ってしまうほど、いじめは本当につらいものなのだと実感する。
なぜ、こんなに苦しく、生きづらい世の中になってしまったのだろう。心が痛む。
 私は最近、ある教室の机に書いてあった落書きを見つけた。
 “何のために生きている。”ただのいたずらかもしれない。いつ書かれたのかもわからない。だが、少し気持ちが沈んでいるかのようだった。もしかしたら本当に、苦しいことがあったのかもしれない。それとも、いじめを受け、心に穴があいてしまったのかもしれない。どのような経緯で、このような言葉にたどりついたのかは私にはわからないが、もしもこの言葉が、いたずらではなく、その人の本気の気持ちで書かれたのならば、相談にのり、全力で助けたい、と私は思う。
 「いじめ」が存在する環境には、いじめられる立場である被害者、いじめる立場である加害者、いじめにのる観衆、いじめをただ見ていることしかしない傍観者の四つの立場に分かれる。もし身近な所でいじめが起こっているのならば、私はきっと、傍観者の立場に立ち、いじめを見て見ぬふりをしてしまうと思う。口出しをして、今度は自分がいじめられたらどうしよう、という恐怖の方が勝ってしまうと思う。ここで勇気を出し、被害者を助けようとすることが理想である。だが、大半の人は、自分がいじめられることを恐れ、見て見ぬふりをしてしまうと思う。まずは傍観者を少しでも世の中から減らすことができるのであれば、減らしていきたい。少しでも減れば、いじめは少しずつ改善され、いじめをつくらない環境になっていくのではないか。
 もちろん、いじめないことが最低条件だが、いじめる側は、何か不満をもっていたり、何かを抱えているのではないかと私は思う。被害者はとても苦しい。だが、もしかしたら加害者も何か苦しいことがあったのかもしれない。何か不満がなければ、イライラも特にしないし、何かにあたりもしない。被害者だけでなく、加害者も苦しいというケースがあるのかもしれない。
 苦しいことがあれば、誰かに気軽に相談することが大切だ。何でも相談できる家族や友達、学校の先生などでもよい。誰かに相談してみるのはどうだろうか。少しは気持ちが楽になり、自分の不満や、モヤモヤした気持ちが解消されるはずだ。
 最近では、ネットいじめが増えてきている。ネットいじめとは、タブレットやスマートフォンなどを利用して、インターネット上で行われるいじめのことである。グループを作り、その中で仲間はずれにされたり、SNSで誹謗中傷を受けたり、様々な事例がある。当然、ネットでいじめを受けた人の心は傷を負う。一度心が負った傷は、一生直らない。相手の気持ちを考えなければならない。だからこそ、SNSの使い方は、慎重に確認していかなければならないのだ。先日、学校の先生から、「SNS上の会話の跡は、いつでも誰が見ても良いような状態にしておきなさい。」と話があった。目から鱗だった。納得した。誰だって、自分のスマートフォンを人に好き勝手見られるのは嫌だと思う。しかし、SNS上の会話をいつでも見られても良いような状態にする、というのは、逆に言うと、相手が傷つく言葉を、SNS上に書き込んではならない、ということを言っているのだと思う。
世の中で起きている様々ないじめは、一つ残らず消えてほしいと思うが、それはとても難しいことだ。まずはいじめをなくすのではなく、減らす取り組みをしていかなければならない。そこで大切なのは、いつでも誰かしらに相談できる環境づくりである。これは加害者を少なくすることにつながっていくはずだ。
 世の中には、心に多くの深い傷を負っている人々がいる。このような人々を救いたい。いじめなんかで大切な命を絶ってほしくない。親から授かった命を、そして“人権”を、もっと大切に、守っていってほしい。生きづらい世の中ではあるが、いじめが少しでも減ったら、なくなったら、世界がパッと明るくなり、未来に光が見えてくるのではないだろうか。一人一人の意識が、この世界を変えるのだ。
 
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