【特選】ゆっくりでいいよ 玉井小学校5年 八巻彩
ゆっくりでいいよ
玉井小学校5年 八巻彩
お姉ちゃんはうらやましい。学校の宿題もないし、周りの人からたくさんほめられる。それがいやでお母さんに言った。「お姉ちゃんはね、うまくいろいろできないの。だから彩みたいに速くできない。お姉ちゃんは他の人の力も借りてゆっくりやるのよ。」それを聞いて、わたしは何も言えなかった。でも、お姉ちゃんは中学校で「彩ちゃんはね、やさしいんだよ。かわいいんだよ。」と言ってくれた。うれしかった。お姉ちゃんの中学校にいくと、そこのみんなはいつも笑顔でむかえてくれる。お姉ちゃんたちはできないことが多いけれど、笑顔で、そして前向きでいる姿がとてもすてきだと思う。
お姉ちゃんの中学校は障害をもった人たちの学校だ。わたしは、そこで行われたスポーツ大会に参加した。スポーツ大会では、ベースボール、フリスビーなど、おもしろいゲームがたくさんあったが、うまくできない人たちも多かった。でも、学校の生徒たちはみんな、失敗してもくじけず笑顔で挑戦していたから、すごいと思った。
終わった後にインタビューを受けた時、わたしは、「お姉ちゃんが楽しくしていたので、わたしも楽しかったです。」と言った。すると、周りの人や校長先生に、たくさんほめられた。なんでだろう。お姉ちゃんが楽しくしていたら、わたしも楽しくなっただけなのに。不思議に思った。
そういえば、お姉ちゃんにはできないことがたくさんある。お姉ちゃんはわたしと同じようにはできないし、やっているのを見ると、とても大変そうだ。だから、お姉ちゃんが楽しくしていられるって、すごいことなんだ。わたしはそう考えた。
お姉ちゃんの周りには、たくさんやさしい人がいる。「心ちゃんだいじょうぶ。」
「心さん手伝うよ。」「心ちゃんはゆっくりでいいよ。」お姉ちゃんはたくさんの人に助けてもらっていた。だから、お姉ちゃんは楽しくいられるんだ。
わたしは、世界中のみんなが、お姉ちゃんのように楽しくいられる未来になるといいと思う。この中学校のみんなのように、周りの人が障害をもつ人に手を貸してあげたり、声をかけてあげたりして、互いに寄りそってほしい。そうすれば、障害をもつ人もそうでもない人も、だれもが楽しく生活できる未来になるとわたしは思う。
「お姉ちゃん、楽しく、ゆっくりやろうね。」わたしはお姉ちゃんにそう言いたい。
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