【特選】自分らしく輝ける場所へ 一般部門 八巻美樹

自分らしく輝ける場所へ
 
 一般部門 八巻美樹
 
 数年前障害者施設での十九名の尊い命が失われた衝撃的な殺傷事件がありました。その後ネット等で障害者は不幸をつくる事しか出来ないと言う犯人の主張を知り、悲しくなりました。障害も個性、そんな言い方をする人もいるけど、個性というきれい事で片づくものではない事も実感はしています。
 我が家の長女は先天性の持病とハンデがあり、小学生まで入退院を繰り返しました。中学校からは体の負担を考え、少人数制の福島大学附属特別支援学校に進学しました。今は簡単に情報を知れる世の中ですが、娘が希望を持って生きれるように、送り出す場所は自分の目で確かめて、娘に合う学校を選択しました。
 ずっと一緒だったお友達と離れ、一足早く別の道へと進む事に沢山の不安がありましたが、娘は毎日学校が楽しいと三年間笑顔で通いました。小学校では運動制限があり、思うように体を動かせませんでした。中学では娘に合った方法で沢山の事にチャレンジ出来ました。完璧に出来る事ではなく、大切なのは挑戦し努力する。それが積み重なり娘の自信へと繋がりました。出来ない事が失敗ではなく、それは経験であり経験に勝るものはない。経験の先に自分らしさが見つかる。小学校ではお友達の背中を追いかけて、沢山背伸びをし無理をさせてきました。その姿に苦しく辛い時もありました。でもその度に先生方、同級生、保護者の皆さんにいつも温かい手を差し伸べてもらい、どんな時も乗り越えてこれました。今でも感謝の気持ちでいっぱいです。その小学校での経験があったからこそ、今に繋がっていると思います。
 我が家には五歳違いの次女もいます。共に成長する中で何事にも出来るまで努力していて、幼稚園のなわとび大会では、メダルを目指し毎日練習している姿に、最初から出来る子なんていないと気付かされました。人と比べてしまったり、皆と同じ事が出来ないという思いが苦しく感じてしまいます。だからこそ結果ではなく努力を認めてあげる事が大切なんだと思いました。私自身二人の娘を育てたから気付けました。
 長女は三年間の中学生活を終了し高等部へと進学しました。卒業式では高等部の先輩方が立派に社会へと旅立つ姿を見て、この学校はどう生きるかと型にはめるのではなく、どう生きたいかと自分らしく生きる道を教えてくれた場所であったと感じました。そんな場所で三年間学び、卒業する娘の姿が今からとても楽しみです。
 人それぞれ色々な道があり、何が正解かわかるまで時間がかかります。簡単に知れてしまう情報に惑わされず、娘達には自分の目で見たもの、自分の心で感じた事を大切に、自分らしく生きてほしいと思います。私も共に奮闘し、娘達それぞれの輝ける場所を見つけられるように、二人の娘を応援し続けたいと思います。この先もずっと楽しい声が家に響くように。そこに家族の幸せがあるのです。
 
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