【優秀賞】「独り」という孤独を救うヒーロー 玉井小学校6年 服部紅葉

「独り」という孤独を救うヒーロー
 
玉井小学校6年 服部紅葉
 
 「独り」は、とてもさびしくて悲しい。孤独におそわれた経験がなければ、独りになる怖さは分からないかもしれません。
 私は前までは、自分の周りにいるだれかが独りでいても気にもかけませんでした。きっとそれは、「自分が楽しければいい。」「自分には関係ない。」と思っていたからだと思います。また、「独り」ということが一体どんなことなのか、「独り」になった人がどんな思いをするのか、あまり分かっていなかったからでもあると思います。しかし今は、そういう子を無視し、特に気にかけていなかった自分をふり返ると、後悔の気持ちでいっぱいになります。なぜなら、自分も「独り」だということを感じたことがあるからです。
 私は、だれかにいじめられたり、わざと無視をされたりしたことはありません。ですが、ふとしたときに「独り」を感じることがあります。例えば、みんなが話しながら歩いているとき。その中にうまく入れず、みんなが笑いながら楽しそうに歩いている後をとぼとぼとついていったことがありました。みんなが楽しそうにしていればしているほど、「私もだれかと話したい。」と感じさみしくなりました。また、こんなこともありました。友達がろう下に一列に並んでいるときに、自分だけ列に入りきれずに外れたことがありました。みんなが楽しそうに会話をする中、私は話を合わせるように笑顔をつくっていました。本当は何も楽しくないのに。無視されたりいじめられたりしたわけではないけれど、以前はこんなふうに孤独を感じることもありました。
 でもそんなときには決まって、私を救ってくれるヒーローのような友達もいました。一人で歩いていたときは、ふだんあまり話さない友達が、私に優しく話しかけてくれました。笑顔をつくって話を聞いていたときは、何も言わずにすっと自分の近くに来てくれた友達がいました。「私は独りじゃない。」と思って嬉しかったし、とても安心したことを覚えています。独りだと感じるたびに、ヒーローのような友達にくり返し救われてきました。
 自分の周りにいるだれかが独りでいても気にかけなかった私が、「今度は自分がだれかを助ける番だ。」と思いました。
 ある日の休み時間、クラスに転入してきた子が「独り」でいることに気付きました。わたしはきん張もあったけれど、勇気をもって声をかけ、遊びにさそうことができました。初めて友達を救うことができたのかもしれないと思いました。それからは、独りでいる子に積極的に話しかけたり遊びにさそったりすることができるようになりました。相手がそれで笑ってくれたり喜んでくれたりするのが、私は嬉しいし幸せです。あまり笑わない友達が笑ってくれた。あまりしゃべらない友達と楽しい会話ができた。友達にとってのヒーローに一歩近付くことができたのかな、と思っています。ヒーロー目指してまた明日も、周りの友達をよく見て過ごそうと思います。
 
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