【優秀賞】祖父の言葉から考えたこと 大玉中学校1年 小沼駿斗

祖父の言葉から考えたこと
大玉中学校1年 小沼駿斗

 ぼくの祖母は今年の一月交通事故にあった。信号で止まっていた祖母の車に追突された。祖母は救急車で運ばれ、入院した。警察から連絡がきた祖父から電話があった。母は、「何やってんのよ」といいながら、不安と焦りでいっぱいだった。いつもは、冷静な祖父も、カギをかけたかどうかも忘れるくらい冷静でいられなかった。いつもしっかり戸締りをする祖父だが忘れてしまうくらい不安が大きかったんだと思う。祖母は三週間入院した。脳の中で出血していた。そのくらい大きな事故だった。母は泣きながら現場に向かった。
 交通事故には、加害者と被害者がいて、そのどちらにも家族がいる。母は怒りしか出てこなかったと言った。ぼくも母と同じで「何してくれてるんだよ」と怒りしか出てこなかった。だけど祖父は違った。祖父は、相手に対して「お前らは大丈夫なのか、なんか変だなと思ったらすぐ病院行けよ」と言った。ぼくは、はっとした。ぼくにはそんな言葉は出てこなかったからだ。なぜ、祖父にはそのような言葉が出てきたのか、ぼくは考えた。祖父は自分が逆の立場になったときのことを考えられたんだと思う。相手にも家族がいる。その家族の方々のことまで気遣うことができたのだろう。ぼくがもし、事故を起こしてしまった側だったら、まず最初に怒られるという考えが浮かぶ。その時に祖父のような言葉をかけられたら少し気持ちが軽くなると思う。しかしこれは命があったからこそ言えたことかもしれない。今は新型コロナウイルスの影響で医療従事者の方々が大変な思いをされてる中、祖母の受け入れ先がすぐ見つかった。一人一人の行動次第で感染者は減る。コロナウイルスにより面会もできなかった。祖母の状況も分からず、不安な日々が続いた。
 この事故で言った祖父の言葉により、改めて気付いたことがある。それは、相手のことも思いやる大切さだ。ぼくは、相手の方のことを考えず怒りという感情しか出てこなかった。だが、祖父は相手の方のことも気遣い思いやった言葉をかけることができた。祖父に怒りはなかったのか。ぼくは、多少あったと思う。でも、その気持ちをぐっとおさえて、言えた。いくら怒っても起きてしまったことは元にはもどらない。起きてしまったことはしょうがない。だから、その次に何をするべきなのか。逆の立場になったときに自分がどんな言葉をかけられたらうれしいか。相手の家族の立場ならどんな気持ちになるか。そこを祖父は冷静に考えることができたんだと思う。これが相手を思いやるということ。これは今回のことにかぎらず、今の世の中で問題になっているいじめや、差別などの人権問題にも、共通することである。いじめなどの多くは相手の気持ちを考えずに言葉を発したり行動することで起こると思う。この社会では今、この人権問題は大きな問題になっている。これにより、不快な気持ちになったり、自ら命を絶つ人だっている。確かに「あいつ嫌い」と思うことは自由かも知れない。でもそこをぐっとがまんできるか、相手の立場になって考えられるかでいじめは減ると思う。そしてその周りの人もぼくは、大切だと思う。それはだめとしっかり注意することも大切、いじめを受けた人を支え、一緒になって考えることも大切。確かに一番は、いじめが起きないこと、しかし周りの人たちも相手の気持ちを理解し、寄りそってあげることも大事だと思う。祖父はこれをとっさにできた。ぼくもそんな人になりたい。いじめられている人の中には、怖くて周りにSOSを出せない人もいる。そのような人にまで視野を広く、手をさしのべてあげられるような人を目指したい。いじめは一人一人の意識で減る、そう思う。
 今回の事故は、相手の不注意による事故。だが、決してゆるされる事故ではない。本来ならこのような経験はしなくて良いこと。だがこの事故、そして祖父の言葉から、いろいろ考えることができた。相手の立ち場に立ち、気持ちを理解し、思いやることの大切さ、難しさを改めて確認することができた。相手の気持ちを理解し、そして思いやること、思いやりのある言葉をかけること、これは簡単なことではない。だが、一人一人が思いやりの心をもてば、もっといじめや差別、SNS上での誹謗中傷などの人権問題が減ると思う。
今年の祖母の誕生日はみんなで祝えなかったので、来年こそはみんなで盛大に祝ってあげたい。
 
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