【優秀賞】 きっかけの一言 大山小学校5年 安斎優羽

きっかけの一言
大山小学校5年 安斎優羽

私は今年の春に大玉村に引っこしてきました。新しい学校で新しい友達もでき、クラスのみんなと毎日協力しながら生活しています。いろいろな人とかかわる中で、気を付けなければならないのが「言葉」だと私は考えます。そう考えるようになったきっかけが三年生の時の出来事でした。

校内でクラスごとに回数を競う「大なわ大会」が開かれることになりました。それに向けて私はクラスのみんなと練習していまいた。その中で跳ぶのがなかなかうまくいかない女の子がいて、その子の番になると跳ぶまでに時間がかかり、合計回数が少なくなっていました。毎日のように練習をしていたある日も、その子はなかなか跳べずにいました。すると一人の子が「今、今!ああもう早く跳んで。ほら早く!」と強い口調で言いました。それに続いて別の子も「うん、早くしてよ!」と、きつい口調で言ったのです。言われた子の表情がどんどん暗くなっていくのが分かりました。私は(かわいそうだな)と思ったもののだまったまま何もできませんでした。数日後、練習が始まる前のその子の顔を見るとやっぱり暗いままで、やりたくなさそうでした。私は、(苦手だからやりたくないのかな。またきつい言葉を言われるかもしれないからやりたくないんだろうな。)と思いました。それでも、その子は練習を続けていました。そして大会当日、私たちは練習の時よりも多い回数を跳ぶことができました。あの子も以前より上手に跳んでいました。私はすごいなと思いました。その子ががんばったおかげで回数をふやすことができたからです。けれど練習の時にきつい言葉を言った子達はその子に声をかけず、他の友達と楽しそうに話しているのが見えました。その子はだまってぼうっと立ったまま。私は声をかけようと思いましたが、そのきっかけをつかめないまま時間ばかりが過ぎ、大会は終わってしまいました。私は自分のしたことを後悔しました。(どうして何も言ってあげられなかったのだろう。)という思いが頭の中をぐるぐるしました。言った側の子達は「いい記録を出したい」という思いが強すぎて、相手の気持ちよりその時の感情で言ってしまったのだろうな。でも、あの子はすごいいやな気持ちだっただろうな。だれかがあの子に優しい一言を言っていたら、そのいやな気持ちを少しは楽にしてあげられたかもしれないのに。
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