【最優秀賞】ぼくの農作業 大山小学校5年 古川 尚人
大山小学校五年 古川 尚人
田植え前の四月中旬から五月までの間、苗の水の管理がぼくの仕事になった。毎年水の管理をしていた母が、足をけがしてしまったからだ。ぼくの家には、ビニールハウスが五棟建っている。中には祖父が作った苗用のプールがあり、そこには、ぎっしりと苗箱が並んでいる。全部で二千四百枚。ぼくは、田植えまでの約一ヶ月間、苗が元気に育つよう、全ての水の管理を任されたのだ。ぼくにとって、初めての責任ある農作業だった。
学校から帰り、宿題を終わらせるとすぐにハウスへ向かう。川からポンプで水を引き、水やりをする。どのくらい水をあげればよいのか、祖父や母に教えてもらいながら覚えた。ポンプのエンジンもかけられるようになった。初めの一、二週間は楽しかったです。でも、ポンプは重いし、ハウスの中は暑いし、だんだん大変になってきた。やめたくなった。そんなある日、とうとうぼくは、
「もう、やりたくない。」
と言って、ハウスに行かなくなった。家の中からハウスの方を見ると、母がいたむ足を引きずりながら水やりをしていた。かわいそうだなと思ったけれど、大人だしそんなに大変じゃないだろうと思って行かなかった。おこられてもいいやと思った。
母は、水やりを終えると汗だくになって帰ってきた。そしてすぐに夕食の準備を始めた。母はおこらなかった。逆に、
「いつもごめんね。」
とぼくにあやまった。何だかいやな気持になってしまった。母に悪いことをしたなと思った。
次の日からぼくは、またハウスに行くようになった。苗はぐんぐん大きく育っていった。そして、いよいよ田植えの時期をむかえた。ぼくの農作業は無事に終わりをむかえることができたのだ。
元気に育った苗を見て、祖父は、
「尚人、毎日水やりをありがとう。おじいちゃんは、安心して田植えの準備ができたよ。」と喜んでくれた。家族のみんなからも、
「ありがとう、ご苦労様。」
と言われた。それが一番うれしかった。
このページの情報に関するお問い合わせ先
産業課農政係TEL:0243-24-8107FAX:0243-48-4448
産業課農政係TEL:0243-24-8107FAX:0243-48-4448