【優秀賞】「未来へ残す私達家族の柚子の木」 玉井小学校6年 武田 栞奈

【優秀賞】
「未来へ残す私達家族の柚子の木」
玉井小学校 6年 武田 栞奈
 「今年もまた、実ったな~。」
祖父はうれしそうに、柚子の木を見上げている。
 私の家の畑にある大きな1本の柚子の木。この柚子の木は、母が産まれた年に植樹した記念樹です。毎年たくさんの実をつけて、柚子風呂や、柚子ジャム、柚子味噌など、秋から冬にかけて家族全員を楽しませてくれます。母が小さかった頃にも、祖母がカゼをひいいた時に作ってくれていたと教えてくれました。
 母が30才を過ぎたことを機にこの柚子の実から、子孫を残そうと祖父が言いました。そこで私達は、子孫を残すために、様々な方法を試しました。
 まずは、柚子の実から種を取り、その種を土に植えてみました。次の年の春には、芽が出なく失敗でした。祖父は、たくさんの本を読み、勉強して、冷蔵庫で冬眠させ、発芽させる方法を知り、私に、
「一緒にやろう。」
と言いました。私も、種を取ったり、本を一緒に読んだりして、祖父と夢中になりました。
 やっと発芽した芽は、その年の冬に寒さでかれてしまいました。本で得た知識では、大玉村の気候には合わないと知り、その年は、発芽してから大切に育て、冬は、室内で年をこしました。春になり、外に出してみると、黒アゲハ蝶の幼虫のエサになり、枝だけの状態になってしまいました。様々な方法と、今までの経験を生かし、次の年、ハウスの中で育て順調に育った苗木は今年、53センチメートルほどに育ちました。この苗木は、今ある柚子の木のとなりに2本。庭に1本。裏山に3本植えられました。植樹された柚子の木は、全てかれることなく、元気に育っています。
 柚子の実がみのるまでは、18年かかると知り、祖父が、
「嫁に行くまでにはみのるかな?」
と、笑いながら、これからは、柚子の木の成長と私の成長を見守りたいと言われました。私は、今育てている柚子の木がみのったら、また、子孫を残そうと思います。母と一緒に育ってきた柚子の木を守り続けていきたいし、柚子の実がみのることをとても楽しみにしています。また、祖父が私の成長と、柚子の成長をどちらも楽しみにしていてくれる事を、私はとてもうれしく思います。
 
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