【最優秀賞】「私の自慢のいちご農家」 大玉中学校2年 星 結衣香

【最優秀賞】
「私の自慢のいちご農家」
大玉中学校 2年 星 結衣香
 
 大玉村といえば、「米」。ほとんどの人がそのように言うと思う。確かに、大玉村はおいしい米で有名だ。しかし、大玉村で生産されている、私が紹介したいもう1つの農作物がある。それは、「いちご」だ。皆さんも、あだたらの里直売所で、ずらりといちごが並んでいるところを見たことがあるのではないだろうか。
 私の祖父母はいちご農家を営んでいる。祖父母の作るいちごは、ほっぺが落ちるくらいとても甘く、ひとこと目に「おいしい」が出てくるほどだ。寒い時期にゆっくりと、じんわりと真っ赤に色づく。まるで、輝く赤い宝石のようだ。祖父母の作るいちごは、自信をもってみんなに自慢できるいちごだと私は思う。祖父母のことを自慢できることはもう1つ。それは、大玉村のいちご農家は、1軒しかないこと。つまり、大玉村で営む唯一のいちご農家ということだ。
 祖父母を手伝うことは少なかったが、小学生の頃、手伝う機会があったとき、とても大変だった覚えがある。たった1つの作業だったはずだ。いちごを作るのには多くの手順があることを知っているだろうか。米作りは、1年中仕事がある。いちご作りも同じだ。1年をかけていちごは作られているため、本当に大変な仕事だ。小学生のころの手伝った経験を通して、根気強さが大切なのだと感じた。この大変さが、過去には数軒あった大玉村のいちご農家が減少していった要因になるのだと思う。ただ、祖父母の作るいちごには、この苦労を重ねているからこその、風味と輝きがあるのだと私は思う。
 最近、祖父母は県のテレビに数回出演しており、多くの人から、一目置かれている。苦労を重ね、今もなお成長を遂げている祖父母。私は本当に「すごい。」と、尊敬の眼差しを向けている。
 しかし、ある日母が言っていた。
「ばあちゃんたちができなくなったら、もう終わりだね。」
大玉村でいちご農家を営んでいるのはたった1軒だ。私はその時思った。これこそ、“高齢化”“後継者不足”なのだと。ただ、今私に出来ることは、感謝の気持ちを持って、いちごを頬張ることだけだ。
 ある日、あだたらの里直売所のホームページを見てみると、抽選で1等の、祖父母が作るいちごを当てたお客さんが、笑顔でいちごといっしょに映っていた。祖父母のいちごは多くの人を笑顔に出来る。この輝きが、大玉村から失われてしまうと考えると、悲しい気持ちになる。
 今は、まだ大玉村唯一のいちご農家として祖父母が作り、大玉村を照らしているいちごの味。これから先も、お客さんの心、そしてこの大玉村にずっと残り続けてほしいと思っている。
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