【優秀賞】一方通行でない気付き 大玉中学校2年 渡邉穂乃花
一方通行でない気付き
大玉中学校2年 渡邉穂乃花
ある日、いつものように中学校から渡されたプリント数枚を母に渡した。それを見た母が、「これ行ってみたら?」と言って、一枚のプリントを指さした。そこには、“夏のボランティア体験参加者募集!”という文字が書かれていた。詳しく読んでみると、何種類かの体験メニューが載っていた。その中で“ちびっこ夏祭りを手伝おう!”というメニューに興味を持ち、やってみたいと思った。そこで、友人を誘い、ボランティアの申し込みをすることにした。申込書には「締切前でも定員に達した時点で締め切らせていただきますので、ご了承ください」と書かれていた。私が応募したいボランティアの定員は五人。早く申し込まなきゃ!と焦った。親に申込み用紙に記入してもらい、友人と申込みに行った。幸い定員には達しておらず、参加受付してもらえることができた。
当日を楽しみに過ごしていたある日、また学校から同じボランティア募集の紙が配られた。定員に達していなかったのかボランティアの内容も一緒だった。私は驚いた。定員が少なったので、あっという間に定員に達してしまうと思ったからだ。学校でも、先生から「ボランティアに参加してみたらどうですか。」という呼びかけもされていた。家に帰り私は「ボランティアってみんなしないのかな?」と母に言った。母は「お金を貰えるわけでもないから、わざわざやろうって行動に移す人は少ないのかもしれないね。」と答えた。それを聞いて、そういう考えもあるのかと思った。
ボランティア当日は、ちびっこ夏祭りのお手伝いをした。くじ引き屋さんや輪投げ屋さんになって、小さい子供たちと一緒に触れ合った。三歳くらいの子供たちがニコニコしながら楽しそうに参加しているのを見て、自分の気持ちも温かくなり純粋に楽しく過ごすことができた。そしてボランティアの最後には、スタッフの人達から「ありがとう。助かったよ。」という言葉をかけてもらい、とても嬉しくなった。ボランティアの時間はあっという間で、私の方こそ「楽しい時間をありがとうございます」と伝えたい気持ちだった。
ボランティア募集の用紙を見た当初は、ただ「楽しそうだな」「自分にも妹達がいて小さい子が好きだから、役に立てそうだな」と気軽に考えて参加したが、実際に参加してみて、人の為にだけでなく自分も嬉しくなるものだと感じることができました。誰かの為に行動することで、だれかに感謝される。その感謝の気持ちを受け取ることで、自分も温かく幸せな気持ちになることができる。それがボランティアの魅力なのだろう。
しかし現実は、なかなかボランティアに参加する人がいなかった。確かに報酬はない。「面倒くさい」「自分には関係ない」「やっても利益がない」と考えてしまう人もいるかもしれない。しかし、少し考えてみる。本当にそうだろうか。一見すると、ボランティアは一方的に誰かのために自分の時間を使う「ただ働き」のように見えるかもしれない。でも、実際はだれかのために自分が起こした行動が「感謝」や「温かく幸せな気持ち」という形となってまた自分自身に返ってくる。その返ってきたものによって自分の心も豊かになり、成長することだってできるだろう。確かに報酬を得ることはない。けれども、お金などの報酬では得られないものを得ることができる。私がボランティアによって一方的に誰かを助けているのではなく、私も相手からかけがえのないものを受け取っているのだ。
人は誰だって困った時に助けを求めたくなるだろう。誰かの親切に助けられたことがあるだろう。誰もが優しさや親切に支えられながら生きている。自分が困った時に誰かに助けられているように、どこかで助けを必要としている人がいるのであれば助けになろうと行動することが大切だと思う。そして忘れていけないのは、「してあげる」という、一方通行ではないということ。相手との関わりの中でかけがえのない貴重なものとなって、自分自身に返ってくるということ。ボランティア活動を通して気付くことができた。このような気持ちを持ちながら人と関わることができれば、生きやすい社会になり、自分の心も豊かになるのではないだろうか。
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