【佳作】匿名の言葉の暴力 大玉中学校1年 若松奈緒
匿名の言葉の暴力
大玉中学校1年 若松奈緒
「最近、誹謗中傷とか暗いニュースが多いな」ネットニュースを見ながら私は思った。 オリンピック選手や審判に対して「やめてしまえ」「下手くそ」などの誹謗中傷が相次いでいるというニュース。 中学生のAさんが同級生からsnsで「死ね」「非人権」などと誹謗中傷を受けて自ら命を絶ってしまったという痛ましいニュース。しかも、いじめをしていた同級生のsns上のやり取りを見ると、「何が悪いん」と反省の意が見られないような会話があったらしい。 これだけ人を傷つけていい気になっている人が多いのはなぜだろう。見ているだけで気分が沈む。
自分が誹謗中傷を見かける時もある。私の好きなネット活動者のコメント欄を見ても、根拠のないデマ情報、 「気に入らないから」という理由でその人の人格そのものを否定しているコメント。また、誹謗中傷をしている人たちに便乗してさらに中傷しているコメントなどをたまに見かける。 「なんでこんなひどいことを言うのかな?」コメントに腹が立ち、思わずつぶやいた。そして、誹謗中傷に対して何もできない自分に落胆した。私には中傷している人たちの気持ちを理解することができなかった。
なぜ誹謗中傷をする人がいるのだろう。誹謗中傷とは、正確にはどのようなことなのだろう。 中傷に対して私は何ができるのだろう。疑問に思った私は、インターネットを使って誹謗中傷のことについて調べてみた。
そもそも、誹謗中傷というのは、悪口などを書き込むなどとして、相手の人格や名誉をおとしめたり傷つけたりする行為のことを言うそうだ。それなら批判と変わらないじゃないかと思うかもしれないが、批判は「物事の真偽や善意を批評し判定すること」なので、誹謗中傷と批判は似ているようで異なるのだ。 だが、誹謗中傷も批判も人権を侵害していれば法的措置の対象となるので、どちらも気をつけなければならない。調べるときに見たサイトには「どれも誹謗中傷は、れっきとした犯罪です」と書いてあった。 これだけ「犯罪だ」と言われているのに、なぜ誹謗中傷する人がいるのだろう。さらに調べてみると、snsの匿名性が大きな原因のようだ。 名前が分からないからばれないだろうと考えて誹謗中傷する、というケースが多いらしい。また、憂さ晴らしに中傷をして、ストレスを発散する人もいるそうだ。加害者は「正当な批判、評論だと思った」と考えている人がほとんどらしい。
ネット上に書き込んでいる酷い言葉を 面と向かってその本人に言えるのだろうか。これは正しいことだと胸を張って言えるのだろうか。 表現の自由を履き違えて、自分の意見を正当化しているだけなのではないだろうか。私は自分勝手な理由で相手を傷つけている人に対して怒りを覚えた。と同時に、世の中の誹謗中傷で傷つく人が増えていることに心が痛んだ。
もう辛い思いをする人がいなくなるように、誹謗中傷をなくさなければならない。 誹謗中傷を完全になくすまでには時間がかかるかもしれないが、減らすことはできるはずだ。今投稿しようとしているコメントが、誰かを傷つけていないか、コメントを見た人はどう思うかということを考え、誹謗中傷は犯罪だということを頭に入れておけば、投稿する内容を見直すことができるのではないだろうか。 また、誹謗中傷を見かけても、過度に反応しないことも大事だと思う。 「いいね」を押したり、コメントしたりすると、さらに中傷がエスカレートしてしまうかもしれないからだ。誹謗中傷を否定するのだけ否定するだけでなく、止めることも大切なのではないかと思う。インターネットで見つけたサイトには、拡散せず、報告するといった対応をすることも大事だと書かれていた。 中傷された被害者が辛い思いをするのはもちろん、加害者も辛い思いをする。誹謗中傷をした加害者の一人は「どうせ見ないと思った」「すごく後悔している」と言ったそうだ。 誹謗中傷は被害者も加害者もみんな不幸になる原因なのだ。
人の心は、心無い一言で簡単に壊れてしまう。言葉は、簡単に人の心をズタズタにすることができてしまう、恐ろしいものだ。だが、使い方次第では、人を救うこともできるはずだ。言葉は人を傷つけるために使うのではなく、人を救うため、守るために使っていきたい。 今あなたが投稿しようとしている言葉は誰かを傷つけていないか。その指を1度止めてみてほしい。
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