【特選】ぼくには何ができたか 玉井小学校5年 佐藤颯亮
ぼくには何ができたか
玉井小学校5年 佐藤颯亮
ぼくは、応援団だ。運動会の時は、白組が勝てるように、そして、みんなががんばれるようにぼくは、気持ちをこめてエールを送り大きく旗をふった。
七月に、村の水泳大会に向けた六年生の壮行会が行われた。応援団の一人一人が六年生に向けてエールを送る中、ぼくのとなりの子が担当のせりふをなかなか言えずにいた。緊張しているのだろうか。ぼくもとても緊張していたので、その子の気持ちが理解できた。
そして、心の中で「ゆっくりでいいよ」と応援していた。すると後ろの方から「あははは」と下級生の誰かの笑う声が聞こえてきた。それを聞いて、ぼくはがんばっている人に対してなぜ笑うのかと思った。そんな時、「大じょうぶだよ。」と六年生が優しく声をかけた。すると、その子は練習通りに大きい声で応援をすることができた。ぼくは、ほっとして、とてもうれしくなった。そしてぼくもそれに続き、大きい声でエールを送った。六年生は、笑顔でとても喜んでくれた。ぼくはその六年生の表情を見て、じんわり心があたたかくなるようなうれしさを感じた。その反面、失敗したことを笑っていた人の気持ちが理解できなかった。
大勢の前で応援のリズムに合わせて大きな声を出すことはとても緊張するし、勇気がいる。笑った人は自分が逆の立場になって笑われたら、どう思うだろうか。そしてぼくも声を出せたかったとなりの子に、何か言えたのではないか。壮行会の後、授業参観があった。学校の三階にあるぼくの教室に、母と弟が来た。ぼくの弟は三歳だ。授業参観の後、階段を降りる時、弟は一段ずつゆっくり降りていた。その横を、走って降りていく同級生がいた。すると、それを見ていたぼくの友達が「あぶないだろ。この段差、ぼくらには低いけど、ちっちゃい子には大変なんだ。もう少し考えて行けよ。」と声をかけた。するとそれを聞いぼくの母が、「優しいね。ありがとう。」と言っていた。声をかけてくれた友達のおかげで、弟は一人で最後まで階段を降りることができた。ぼくはとてもうれしくて、また心がじんわりあたたかくなった。まちがっていることを相手に伝えることも、優しさだと思う。ぼくが友達の立場だったら、同じように走っていく同級生に声をかけることができただろうか。相手を思いやり、想いをよせてかける優しい言葉はきっと相手に伝わる。六年生やぼくの友達のように、困っている人を想って声をかける優しさは、見返りを求めない優しさだと思う。その優しさは、本当の優しさだとぼくは思っている。ぼくも、そんな優しい言葉をかけられるような人になっての多くの人の力になりたい。
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