【優秀賞】「ちょっと変わっている」について 大玉中学校2年 玉造巧士朗
「ちょっと変わっている」について
大玉中学校2年 玉造巧士朗
「あの人ちょっと変わっているよね」「近くにいない方がいいよ」母が見ていたテレビから、そんな言葉が聞こえてきた。「ちょっと変わっている」って何を言っているのか、変わっていたら、一緒にいてはいけないことなのだろうか。なぜそんなことを言うのか、とても気分が悪くなり、その言葉から、小学校の時に感じた嫌なことを思い出した。
僕は、自分の思っていることを言葉で表現するのが苦手で、コミュニケーションを取ることもあまり得意ではない。そのことが関係していたと思うが、小学校の時に友達と話をしていて、僕の話が上手く伝わらず、そのうち友達がイライラし始めて最後には煙たがられたという経験があった。 それが、何人かの友達ともそういう関係になり、今思えば、とても辛い時期だったと思う。今はそんなことはなく、友達とも色々な話をすることもできて、楽しく学校に通っている。でももし、テレビから聞こえてきたあの言葉のような雰囲気が、あの頃の僕に起こっていたら、僕はどうなっていただろうか。僕を理解してくれる友達がいなかったら、楽しく学校に通っていただろうかと思うと、悲しい気持ちになった。 僕の場合「いじめ」だとは思わないが、少しのきっかけから「いじめ」が生まれるのかもしれないと思った。
そもそも「ちょっと変わっている」って悪いことなのだろうか。人は皆、同じではなければならないのだろうか。人にはそれぞれ個性があって、その個性を認め合うことが平和につながっていくのではないのか。 僕のモヤモヤした気持ちを父に話してみると、「とらえ方によっては、「ちょっと変わっている」って褒め言葉だよね。人と違うことをしているってことなんだから」と、僕が思ってもいない言葉が返ってきた。 父の考えは、皆同じことをしていては、何の変化もなく、進化もないと。改革者は、人と変わったことをしてきた人が多いのだと。なるほど、そういう考え方もあるのかと父の言葉に感動した。でも、そんな父も幼少期に「ちょっと変わっている」ことで嫌な思いをしたという話を教えてくれた。それは 「玉造」という名字について、友達にいじられて嫌な思いをしたり、日頃から行動などで目立っていた父が、ある日やってもいないことを「やっている」と先生や友達に言われ、信用してもらえなかったことがあり、その時はとても悲しい思いをしたというのだ。 父は、幼少期から何十年経った今でも、あの時の悲しい記憶は残っていて、周りの人から疑いをかけられたり、信じてもらえないことがあると胸がドキドキしてしまうそうだ。 それだけ忘れられないことだったと話してくれた。そんなことがあったのかと、父の話を聞いて悲しくなった。少し変わっている名字だから、みんなよりも目立つ行動をしていたから、「ちょっと変わっている」から、それだけでなぜ父は、悲しい思いをしなければならなかったのか。
父の話を聞いているうちに、僕の辛いと思ったあの記憶と重なり、悲しくなった。 その気持ちと同時に、なぜ父は「ちょっと変わっている」ことを褒め言葉だと言ったのだろうと不思議に思った。 父は、今でもあの時を思い出すと、胸がドキドキしてしまうほど悲しい気持ちだったはずなのに。父に聞くと、「玉造」という名字に生まれて嫌だったこと、先生や友達に信じてもらえない、父という存在を否定されたような思いを辛く感じたことは悲しかったけれど、 その気持ちを知っているから、「ちょっと変わっている」ことを逆に良い方に思えるようになったのだと教えてくれた。 また父が、今まで色々な人に会い、色々な人の話を聞き、色々な経験を積み重ねていって、「人と変わっていること、人と違っていることは悪いことではない」という考え方になっていたのだという。僕は、そういう考え方を持つ父を尊敬した。これは僕が父を思うように、父もまた色々な人に会って話を聞いて、自分と違う考え方を尊重し、受け入れていった結果、今の父の考え方になったのだとわかった。
父と話をしたことで、「ちょっと変わっている」ということを受け入れられるようになった。父と話をしなければ、こんな気持ちにならなかったと思う。僕は「ちょっと変わっている」ということに偏見を持ち、悪い印象だと決めつけていたように思う。「とらえ方によっては褒め言葉」に思えるように、僕だけではなく、一人一人が柔軟な気持ちを持てば、偏見や差別、いじめがなくなっていくのかもしれないと思った。
僕はこれから色々な人と出会い、色々な人と話をして、色々な経験をしていくと思う。その中で「ちょっと変わっている」ことがあっても、認め合う心、柔軟な心を忘れずに日々を過ごしていきたいと思う。
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