【佳作】「思いやり」や「想像力」の大切さ 大玉中学校1年 伊藤成咲

「思いやり」や「想像力」の大切さ
大玉中学校1年 伊藤 成咲
 世界では、新型コロナウイルスが流行していて、今も感染は拡大し続けている。
 そんな中で、私は「コロナ差別」や「自粛警察」という言葉を知った。
 この二つの言葉が気になったので、インターネットで、調べてみた。すると、コロナウイルスが元となる差別やいじめの事例がたくさん出てきた。私はこの現状に心が痛んだ。その中の一つがマスクが元となる差別やいじめの事例だ。
 屋外でマスクを外して遊んでいた子供が、老人男性に怒鳴られた、マスクをしていない人に言いがかりをつけて大声でけんかして暴力沙汰になったなどの事例があった。
 私も、マスクをしない人を見つけると「つけないといけないのに」と思ってしまったり無意識に近づかないようにしてしまうことに気がついた。
 さらに調べていると気になる内容のニュースを見つけた。
 それは、感覚過敏によってマスクやフェイスシールドをつけることができない人がいるという内容だった。
 マスクの肌に触れる部分が痛くてつけられなかったり、息苦しくてマスクがつけられない「触覚過敏」という症状に苦しんでいる人がいるのだ。
 周りの人から理解されないと誤解されやすいと思った。
 私も、生まれつき首から顎にかけて白斑があり、小学生のときに白斑だと知らない先生に歯磨き粉が付いていると誤解され、ショックをうけた。それから白斑がコンプレックスになっているので、感覚過敏の人達が周りの人に理解されない悔しさや悲しさ、辛さはよく分かる。
 感覚過敏に興味を持ったので調べてみると触覚過敏のほかに、特定の音が苦手な「聴覚過敏」や、明るい光がとてもまぶしく感じる「視覚過敏」などの感覚過敏の症状があり、苦しんでいる人がいるということを知った。
 それなのに何故、コロナウイルスによって、お店などでマスクの着用を義務づけるのだろう。人間が人間らしく、自分らしく生きるためにマスクの着用の義務づけは必要ないと思った。
 でも、コロナウイルスの感染拡大を止めるには、マスクの着用が必要になってしまう。
 でも、日本には「思いやり」という言葉がある。
 例えば、「マスク着用を義務づける」ではなく、「マスク着用にご協力ください」や「マスク着用をお願いします」などのやさしい言葉を使用することで、マスクをつけられない人が罪悪感なくマスクをはずしていられると考えた。
 マスクをつけたくてもつけられない、チャレンジしたけどやっぱりだめだった、という感覚過敏の人は多かった。
 マスクをつけることができなかったり、難しい人に、外出する時マスクをつけて、というのは人権侵害になりかねない。
 マスクをつけないと人殺しといわれたりするという。
 私はコロナウイルスで息苦しい社会になってほしくないと考えた。
 いつまで続くか分からない目に見えないウイルスとの戦いには我慢が必要になる。
 でも我慢をすると、どうしてもストレスが溜まってしまう。そのストレスから偏った正義感、嫉妬心、不安定などから私的に取り締まり、攻撃を行ったり、感染者や医療従事者などを差別してしまうと、人権を侵害してしまう。
 そのためにも、コロナウイルスの正しい知識を持ち、正しく理解をしなければならない。
 人権教育啓発推進センターは、「STOP!コロナ差別-差別をなくし正しい理解を-キャンペーン」を実施している。コロナウイルスによって人間性を奪われることのない社会づくりを目指して展開しているのだ。
 私は、コロナ差別や自粛警察について調べているうちに、感覚過敏の症状からマスクをつけたくてもつけられない苦しみの中にいる人を知った。
 これからは、マスクをつけていない人がいたとしても、怒りを覚えたり、注意したりする前に、想像力を広げて、何かできない理由があると考えるようにしたり、今まで以上に思いやりの心を持って生活していかなければいけない。
 私は、感覚過敏について知り、どうにか助けたいと思ったが、できることはほとんど無かった。でもこのように「人権作文」を書けば理解してもらえると思った。
 もう一度、コロナウイルスについて考えなおして、コロナ差別をなくさないといけない。そのためには、やはり「想像力」と「思いやり」が必要だ。