【特選】エプロンに願いをこめて 大山小学校6年 渡邉穂乃花

エプロンに願いをこめて
大山小学校6年 渡邉 穂乃花
 新型コロナウイルスが流行して学校が休校になっていたころ、病院で使われているマスクやビニールエプロンが不足している事をニュースで知った。私はマスクが不足している事は知っていたが、エプロンも不足している事におどろいた。看護師の母に本当に病院でエプロンが不足しているか聞いてみた。すると母から、不足どころか在庫も底をつき、新しい物も入ってこないため、四十五リットルのゴミ袋でエプロンを手作りして使っていると聞かされた。不足どころかビニール袋で代用しているという事に、しょうげきを受けた。と同時に、なぜエプロンまで不足しているのか疑問に思った。母にたずねてみると、
「かん者さんのお世話をする時に、いつもエプロンを着けているんだよ。医りょうじゅう事者の命を守る物なのに無くて困っているんだよ。」
と教えてくれた。これを聞いて、私たちの命を守ってくれている医りょうじゅう事者のみなさんが、エプロンが無いことで危険な状態にあると感じた。
 そこで、私は休校中である事を利用して、ビニールエプロンを手作りすることにした。母が働いている病棟では、一日に何十枚ものエプロンを使うらしい。私はそれをふまえて、一日四十枚以上作ることにした。エプロンを作っている最中に静電気が起きてしまい、ゴミが付着してしまい、清潔に保つことが難しかった。出来上がったエプロンを入れる箱も工夫した。かわいいイラストをかいたり、どこにたどり着いても笑顔になれる「元気の出るあみだくじ」を付けたりした。使ってくれる人が、この箱を見て明るい気持ちになってくれればいいなという願いをこめて。
 出来上がったエプロンは、母に職場へ持っていってもらった。私はエプロンが使われているのか気になって母に聞いてみた。すると
「みんな大喜びだったよ。うれしすぎて、もったいなくて、逆に使えないねと言っていたよ。」
と笑った。そして、
「穂乃花のエプロンを着けると温かい気持ちになって、穂乃花に守られているような感覚になるよ。力が出て『きっと大じょう夫』と思うんだよね。」
と教えてくれた。私も母の言葉を聞いて心が温かくなった。加えてこんな私でも医りょうじゅう事者のみなさんの役に立てたことがとてもうれしかった。
 今も新型コロナウイルスのニュースが流れない日はない。医りょうじゅう事者の子どもが保育園で通園を断られるニュースを見たこともある。危険にさらされながら、私たちのために働いているのに、このような差別があるのはおかしいと思った。不安で大変な時だからこそ、人を責めたり悪口を言ったりするのではなく、自分で出来ることを見つけ、取り組むことが必要ではないかと思った。これからも私に出来る事を見つけていきたい。