【優秀賞】私の願い 大玉中学校2年 星結衣香

私の願い
大玉中学校2年 星 結衣香
 今、この世の中では、新型コロナウイルスがはやっている。このウイルスは、感染力が非常に強い。そのため、どんどん感染者が増えて行き、先日にはついに、全国の感染者数が一日で千人以上に達した。コロナウイルス感染者が急増してしまっている現状は、世界の今一番恐れるべき問題の一つである。
 しかし今、その他に「差別」という人権問題が増えてきているような気がする。この問題が今現在、最も深刻化している問題なのではないだろうか。もちろん差別はどんな世の中でもあってはいけないものだ。高齢者差別、障害者差別、人種差別。どれもこれも、この世界中でおこっているのだと考えると、同じ「人」として心が痛む。
 ある時、普段通り学校生活を送っていた。その日は、新型コロナウイルスが流行っている真っ只中だった。一人が欠席した。「コロナじゃない?」と数人が言う。一人が咳をする。「コロナだー!」と一人がからかう。からかった人は笑っている。からかわれた人も笑っている。ただ、無理やり笑っているように私は見えた。なぜなら、からかわれてもいない私が暗い気持ちになったからだ。ただ見ていただけの私が、暗く、悲しい気持ちになったのなら、からかわれた方の気持ちはどうなのだろうか。ただ笑ってごまかしていただけで、本当はとても悲しい気持ちになったのではないか。これが言葉による差別だ。少し具合が悪くて欠席しただけで、ただ咳をしただけで、差別をするような言葉をあびせられる。言われた本人はその一瞬で傷つくだろう。「言葉」というものは、人の心に簡単に傷を負わせることができる。相手を傷つけるつもりはないのに、勝手に口からポロポロと言葉が出て、いつの間にか、知らない間に相手を傷つけてしまうことだってある。「いつの間にか」「知らない間」というところが、言葉は本当にこわいものなのだとあらためて実感する。
 この差別が言葉だけでなく、欠席した人や咳をしている人を避けるなど、行動に移してしまったら、もっと深く心に傷が残るだろう。
 このような、行動での差別によりおこった問題の例がある。ある日、コロナウイルスに関連するインターネットニュースを見ていた。一つのニュースに目がとまった。新型コロナウイルスに感染したと思われる職員が働いていた銀行の窓ガラスが割られたというニュースだ。このニュースを見たとき私はこう思った。なぜこのようなことをするのだろう、そうすることで何の意味があるのだろう、と。これも差別の一つだ。わざわざコロナ感染者が働いていた職場の窓を割りに行くのだから・・・・。このニュースを見たのはインターネットだが、テレビではいつものように新型コロナウイルスの話題が続く。このような悲しいニュースも度々見聞きする。見聞きする度に心が痛む。
 私はふと思った。もし、「差別をなくすためにはどうすればよいと思いますか?」という質問をされたら、考えこんでしまうと思う。今までは、「差別はしてはいけない。なくしたい。」とまでしか考えていなかった。先日、朝のテレビニュースでも言っていた。
「絶対に、差別のないようにしましょう。」
私たちは、ここでとまっているのではないだろうか。このような朝のニュースで全国に呼びかけるのも一つの手だと思う。しかし、「差別をなくそう。なくしたい。」呼びかけはできていても、結局、口だけになっているのではないかと私は思う。このような呼びかけをしても、学校でおこった差別、ニュースにのるほどの差別による問題など、またすぐに、目や耳にそのような問題がとんできてしまっている。そこで私は、最初から差別をなくすのは難しいため、まずはどうすれば差別を減らすことができるか考えた。それは、ニュースでの呼びかけをきっかけに、家族や家族以外の身近な人と少し差別について話し合ってみることだ。家族とそのようなことで話し合うなんてばかばかしい、そう思う人は出てくるかもしれない。だが、話し合いというのは、とても効果的だ。私のクラスの授業態度が問題となり、クラスで学級会を開いて話し合いをしたときがあった。その後は、どんどん改善され、良い方向へと向かっていっている。このように、話し合いを通して、差別は少しずつ減っていくのではないかと私は考えた。
 友達と、遊びたくても遊べない、家で仕事や勉強をしなくてはならない、そんな厳しい世の中で今、みんなは生きている。苦しくて、つらいのはみんな同じだ。でも、差別について考える時間を少しでもいいからつくってほしい。そして差別を減らしていってほしい。一人一人の心がけが、生まれもった自分らしく生きる権利「人権」を守っていく一つのかぎになるのではないだろうか。