【優秀賞】女性が社会で活躍するために 大玉中学校3年 渡邊未来翔

女性が社会で活躍するために
大玉中学校3年 渡辺 未来翔
 夏休みに入る日、私が学校から帰ると姉がテレビを見ながら怒っていた。原因は、男女共同参画白書のアンケート調査結果だった。姉は、現在は男女共働き世帯がほとんどだが、育児・家事に費やす時間が女性の方が圧倒的に長いという結果について怒っていたようだった。姉からその話を聞いて何日か前に口喧嘩したことを思い出した。
 それは姉の一言から始まった。
 「男は家のこと本当何もやらないよな。」
 それに対し私は
 「それって男に対する偏見じゃね。」
 といったところ、姉は納得できないような顔で
 「この家の中を見てみ」
 と、言った。私は何も言い返せなかった。
なぜならば、我が家も母と姉がほとんど家の中の仕事をこなしているからだ。
 そこで私は、なぜ女性だけが家事をこなすことになるのか考えてみた。私の周りでは、母や姉だけでなく、叔母も祖母も女性がほとんど家事をしている。また、他の家庭を見てみても学校の参観日等で母親が仕事のやりくりをして参加する割合が多いと感じる。このことから女性の家事、育児の負担が大きいことが伺える。
 曾祖母の時代は、「男は仕事に出て、女は家庭を守る。」というのが主流だったと聞いたことがある。また、私の母は祖母から「男を台所に立たせるようなみっともないことをしてはいけない。」と、教えられたそうだ。私の祖父の姉は高校に進学したいと思っていたが、「女は学問なんか必要ない。」と、言われ進学を諦めその後もずっと後悔していたことを聞いた。女性は出産し自分の子どもを、大切に育てようとすることで責任をもち家事を行うのではないか。また、昔はサザエさん一家のように、父親の言うことが正しいという考えや、曾祖母の言葉のように、女性は家事をこなすことが美徳という考えが日本にはあったのだろう。それに対し男性は、自分がやらなくても家の中の誰かがやってくれると思ってしまうのではないだろうか。
 しかし、現代では女性は男性に劣らず社会に出て重要な仕事をこなしている。その結果女性の負担が大きくなっている。母を見ていると、仕事が忙しく残って仕事をしたいと思っているようだが、家事や祖母の世話で、仕事を持ち帰ってきたり朝早く仕事に行って残業をしないように仕事をこなしたりする姿が見られた。私たちが成長し育児に変わり、介護という負担に変わった。女性はこうしていつまでも重荷を背負うことになってしまう。
 現在は、男性も育児休暇が取得ができるようになり、男性も家事を行うよう社会的には推奨されており、女性も男性も平等と言われている。しかし、アンケートや我が家の実態からは全くそうとは思えない。
 このままだと、女性だけが大変な毎日を送らなければいけなくなる。私は、男性も女性も家事や育児、介護の分担をしなければいけないと思う。そこでまず米とぎからやってみることにした。母や姉から「ありがとう」といわれた。はじめは面倒と思っていたが、感謝の言葉に嬉しさを感じた。その他にも、私が家の中でできることを探し祖母がデイサービスに行く時に声をかけ、デイサービスの方に家での様子を伝えたり、荷物を渡したりするなどを行った。手伝っている内容は、ごくわずかだが母は気持ち的に楽になったと話している。夏休みの間は、食べることが大好きな私が料理をつくり姉が片付けるという役割分担もできた。
 このことから社会を変えるという大きな目標をもつよりも、まずは自分ができることからやってみるということが大事だということを感じた。それとともに、家事は母がやるのがあたりまえとどこか思っていたことを反省した。
 そして、女性が男性と同じように社会で活躍するために家事の分担をし、男性も一人の人間として家事をするというのは当たり前のことということを痛感させられた。私は家のことを少し手伝うようになってから、たくさんの細々とした仕事があることに気付いた。
 男女には、それぞれもっている特性がある。互いに尊重し合いながらも男性はもっと家事を見直し率先すべきだ。男女共同参画白書の結果を他人事と思わず自分も関わっている一人の人間として、真剣に考え行動することで本当に男女平等の世の中に社会が変わっていくと思う。私は、これからも家庭の中から実践していきたい。