【佳作】ぼくにとってのま法 玉井小学校5年 伊藤愛陸

ぼくにとってのま法
玉井小学校5年 伊藤 愛陸
 ぼくの友達は、運動が得意な人、頭がいい人、面白い人、みんなすばらしい友達だ。
友達はすばらしいのに、ぼく自身は、がんばってもがんばっても、運動のほとんどが苦手だ。一番苦手なのは、水泳だ。夏のプールに入る授業があまり好きではない。
 四年生のときの水泳記録会では、二十五メートルビート板に出ることにした。練習では、一度も二十五メートルを泳ぎきることができなかった。本当は休みたいくらいきんちょうしていた。自分の番がくるまで、ドキドキが止まらなかった。
 そしてついに、自分の番がきてしまった。きんちょうはピークだった。ついに、スタートの合図がなりひびく。半分までは、少しよゆうをもって泳ぐことができた。半分を過ぎたころ、だんだんつかれてきて、「もう、あきらめようかな。」と考えてしまった。そのとき、
「あいむ、あいむ。」
と、ぼくの名前を大声でよぶコールが聞こえてきた。「みんなぼくのことを応えんしてくれているんだ。」と、ひっしに泳いでいても分かった。
 それまでぼくは、二十五メートル泳ぎ切ることをあきらめようとしていた。けれど、友達みんなのおうえんの声を聞いて、「絶対に泳ぎ切ってやる。」と力がわいた。時間はかかってしまったけれど、その間もずっとみんなはぼくのことをおうえんしてくれていた。
 そして、ついに二十五メートルを泳ぎきることができた。四年生にしては、ぜんぜんいい記録ではないけれど、やっと二十五メートル泳ぐことができて本当にうれしかった。
「次はビート板じゃなくて、クロールで二十五メートル泳げるようになりたいな。」と思った。
 ぼくは、どんなことに対しても、すぐにあきらめてしまおうとする気持ちがでてきてしまう。そんな気持ちに勝てたのは、友達や先生がぼくの名前をよんでおうえんしてくれたからだ。そのことが分かったから、ぼくもがんばっている友達のことをおうえんしたいという気持ちになった。
 それから、ぼくはずっと行きたくないと言っていた村民プールのプール教室に、友達にさそわれたこともあって通い始めた。できないことからにげてばかりいたぼくだけど、あのときの水泳記録会でみんながおうえんしてくれて、二十五メートルビート板で泳ぎ切れたことが小さな自信になったのだ。そして、「クロールで二十五メートルを泳ぐ」という新たな目標もできた。
 ぼくにとって、みんなのおうえんは、ぼくの弱い心にひびき、元気や勇気をくれるま法だった。