【佳作】 まほうの言葉

大山小学校4年 鈴木 美玲
 
「おはようございます。」
 毎日毎日、どこからでも聞こえてくる言葉です。朝起きれば、テレビからも家族からも聞こえてきます。
 毎朝登校の時間になると、近所には地域の人たちが、雨の日も風の日も雪の日も夏の暑い日でも私たちの安全を見守ってくれています。そこを通るたびに、みんなが笑顔で、
「おはようございます。」
と、あいさつをしてくれます。そればかりではありません。
「なんか今日は元気がないね。」
とか、私たちの顔を見て、たくさん心配もしてくれます。返事を返せない私にまで、何度も何度も声をかけてくれます。
 そんな地域の方々に感謝ができるようになったのは四年生になってからです。一・二年生の時は、はずかしくてあいさつができませんでした。立っている人の顔を見るのがせいいっぱいでした。毎日のことなので、早くなれればよかったけれど、どうしてもその「おはようございます。」がはずかしくて言えませんでした。目を合わせずに、下を向いて小さい声で言うことだけでした。
 ある日、先生から道徳の時間に障がいをもった体の不自由な人の話を聞きました。目の見えない人や耳の聞こえない人、手足の不自由な人・・・。そんな話を聞いているうちに「私は健康でよかった・・・。」と思いました。それから「なんて私はぜいたくな人間なんだろう。」と思えてきました。体が不自由な人たちは、あいさつすることさえもきびしいのに。私は目が見えるし耳も聞こえる。手足も動くし、指も五本ずつある。どうしてそんな私があいさつくらいできないんだろうと思えてなりませんでした。
 初めは小さな声でしたが、朝の見守りをしてくれる地域の方々にあいさつができるようになってきました。だんだんとみんなの顔を見ながらあいさつができるようになりました。だんだんと声も大きくなってきました。地域の方々、通りすがりの人。そして学校の先生方や友達みんなに、気持ちよくあいさつができるようになりました。
 あいさつにはすごい力があります。知らない人でも、あいさつをすることでコミュニケーションがとれます。心がかよいます。けんかをしていた友達とでも仲がよくなるきっかけを作ります。たった九文字の言葉「おはようございます。」がみんなをつないでくれます。心が温かくなります。
 どうして今まで言えなかったかがふしぎでしかたがありません。あいさつの大切さを身を以って教えてくれたたくさんの人たちに感謝したいです。そしてこれからは、もっともっと多くの人たちに感謝をこめて、あいさつしていきたいと思います。
 
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