【佳作】女性の働き方 

大玉中学校 3学年 生方 音羽 
 
 日本の女性は、昭和二十一年まで選挙権がなく、参政権が認められていなかった。明治五年に学制という学校に関するきまりが発布されたときも、「男女関係なく、学業にはげむことができる」と説かれていたが、実際には子守りを理由に女性の不就学が多かった。現在、これらの問題は解決している。しかし、今もなお、「男性は仕事、女性は家庭」というイメージは根強く残っているのではないだろうか。
 二〇一六年に「女性活躍推進法」という、働く女性の活躍を後押しする法律が施行され、女性の活躍できるような社会を目指そうという動きが出始めた。
 そんな中、私は、あるニュースを目にした。東京医科大学が入学試験において、女子受験生を一律減点していたという事件だ。二〇〇六年から行われており、一般入試だけではなく推薦入試や地域入試でも点数の操作があったそうだ。昔のように、女性に不利なことが行われているのかと驚いた。これから女性の活躍できる社会を目指し始めたのに、大学でその場を奪われてしまうのかと悲しい気持ちになった。この事件が起こってしまった原因は何なのか。女性医師は、出産や子育てにより離職、休職するケースが多い。たとえ仕事に復帰したとしても、保育園や幼稚園のお迎えなど、子供がある程度大きくなるまでは、普通の医師達のように遅い時間まで働くことができない。つまり、子育てをしながら働くことができないことが、女性と男性に働き方の格差ができてしまう原因だと思う。
 その一方で、女性が子育てをしながら、仕事を両立できている国もある。例えばアイスランドだ。アイスランドでは、女性が職場に赤ん坊を連れて行くことはあたり前なのだそうだ。また、父親専用の育児休暇があり、父親と母親共同で育児に専念できる環境が整っている。日本でも、男性の育児休暇制度があるが、大企業にしか浸透していない。一部の中小企業では、休暇中の人手が足りなくなってしまうため、制度を取り入れられないこともある。また、育児休暇の取得者の割合は女性は約九割、男性は約三割と世界にくらべて男性の割合が低くなっている。男性の育児休暇の期間は、一週間程度が多く、女性に育児の負担がかかってしまう。
 どうすれば、少しでも負担を減らすことができるのか。私の家では、母と父と私で家事を分担している。母は食事やそうじ、洗濯。父は皿洗い。私は食器片付けと食事の用意をしている。たしかに、小さい妹や弟はいないが、一つの家事を分担するだけで、母の負担は減らすことができる。また、家事をすることで、子供との交流ができたり、よりよい家族関係を築くことができると思う。
 現在、重要視されている、女性の活躍推進。日本では、保育園、幼稚園の時間帯延長や、放課後児童クラブという小学生のための、学童保育がある。その例として、私の住んでいる大玉村には、「総合福祉センターさくら」というものがある。小学校が終わると学校からさくらまでバスに乗り行くことができる。土曜日は朝七時から夜七時までやっていて、朝は勉強の時間がある。また、一ヵ月に一度、誕生日会というものもあり、子供も楽しく、親も安心してあずけることができる。私も実際、行っていたことがあるが、親不在で、不安になりながら留守番するよりも、さくらに行って友達と過ごしている方が楽しかった。時々、障がいを持っている人やお年寄りとの交流があり、影絵をやったり、一緒に運動したりした。子供にとっても良い経験になるし、親も安心して働くことができて、とても良い施設だと思う。今後も家庭での子育てが基本だと思うが、国や地方公共団体、地域、企業、学校、社会教育施設、児童福祉施設などが協力して社会をつくっていくことが大切だと思う。会社の中に託児所などをつくり、子育てしながら働き続けることのできる環境整備などまだ、様々な活動ができると思う。
 国の制度や政策はすぐには変わらないかもしれない。しかし、女性への負担は軽減することができる。例えば、ごみ出し、皿洗い、お風呂そうじ。そんなささいなことだけで、楽になるのだ。中学生の私には、まだ遠いことかもしれない。でも、十年後二十年後の未来が「男性は仕事、女性は家庭」と決めつけのない世の中になり、女性も男性もそれぞれ輝けていることを願っている。
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