【特選】 支え合い それはときめき

一般部門  伊藤 正子
 
 世の中にバリアフリーが叫ばれて多くの月日が流れた。
 巷に見るバリアフリーの形やその姿は実なまでに完璧と言える。私達は個々に秘めた心のバリアフリーを真摯に考えたことがあっただろうか。
 その状況、その状態に直面した時、こんな事もあろうか、そんな事もあろうかと思い乍らも考えだけが通り過ぎて行った様に思える。
 私は、両手に余る程の歳月、障害を持つ皆さんと親しくさせて貰っている。皆さんの集うお部屋に花を飾ったことがきっかけであった。
 当時は、障害者をかかえる家族の小さな集まりに過ぎなかった。現在のフレンドリーである。やがてその小さな集まりが村の開発に依って、総合福祉センター内に障害者授産施設として形を変え、フレンドリーの入所者は年々増加し規模拡大の一途を辿っている。
 入所者の皆さんの表情は実に明るく、屈託の無い笑顔を見せている。そこからは障害の有無など微塵も感じられない。
 この施設の必要性は言うまでもないこと、施設の開所を待って、待って、それでも待って待ち望んだ沢山の人達が居たことが、何時も話題にのぼった。
 施設の果たす役割は、障害者と暮らす家族にとって、何程に有難く心の安らぎであり、人生の寄り所となっている事は言うまでもない。
 障害を個性であると理解できるまでの長い月日、泣き乍ら苦しんだそのハンディは、実に大きなものであったと言える。
 かつて、障害者のいる家族は、人目をはばかる様に過ごす毎日、障害者は家族の傘下の陰におかれ、そこには個々の自由など全く考えられない状態を余儀無いものとされて来た。
 授産施設、フレンドリーに入所する様になって、障害者も家族も限り無い明るさを取り戻している。
 毎日顔を合わせることの出来る仲間が出来、それが喜びとなり、自分への支えとなり、そこに生きる力を見出している事を信じて止まない。
 村にこの施設が出来た事で、障害者にも権利が生まれ、活かされて保たれて素晴らしい毎日となっていることを思う時、そこには当然とされる人権が存在し、何よりも、人が人らしく生きることの環境の配慮、人権を奪いかねない不安な毎日が取り除かれている姿が目に入る。
 私は折々に施設に足を運んでいる。時代の波こそあれ、これまでに障害を持つ皆さんのこの様に伸々とした姿を目にする事があったでしょうか。
 お互いがお互いを解り合える場所、そして認め合える場所、こだわりの無い素直な気持ちを皆で導き合える場所があってはじめて打ち解ける事が出来て、これこそが開かれた心のバリアフリーと言えるのではないでしょうか。
 そして、これこそが施設の果たす重要な役割であると信じています。
 入所前は一人居の時間が多かった皆さんが、入所後は支え合って時を過ごし誰かの役に立てる喜び、自分自身の遠慮しなくていい与えられた作業に手を動かし、充たされた一日を過ごすことで人権は保たれ、限り無い命が守られて行くことを共に喜びたい。
 世の中を、身も心もバリアフリーで支え合うことこそ安らぎであり、それこそがときめきの日々となりましょう。
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