【優秀賞】 あいさつをすると

玉井小学校5年 金 那奈世

「おはよう。」
 私は今まで、人からこの言葉を言われるとなやんでしまっていました。
 私の通学路には、毎日のように私たちにあいさつをしてくれるおばさんが立っています。おばさんはいつも、
「おはよう。」
と言ってくれるので、登校班のみんなは元気にあいさつを返していました。でも私はあいさつを返せませんでした。あいさつを返そうと思っても、なぜかはずかしくなって声が出なくなってしまうのです。だまったまま、おばさんの前を通り過ぎてしまう日が続きました。また、教室に入るとみんなが、
「おはよう。」
と私に言ってくれました。でも勇気が出なくてあいさつを返せませんでした。
 ある時、私は気づきました。それは、あのおばさんが悲しそうな顔をしていたことです。教室の友達も、私が「おはよう」と言えないとおばさんと同じように悲しそうな顔をしていたのです。私は、心がずしんと重くなっていく感じがしました。
 私は、あいさつについて考えました。もし自分が「おはよう」と言った時に、相手から「おはよう」が返ってこなかったら悲しい気持ちになると思いました。そして、(私のまわりの人たちが悲しい気持ちになるのはいやだな。)と思うようになりました。私は家族や先生にはあいさつができます。だから、勇気を出してあいさつを返そうと決心しました。
 次の朝、通学路にはいつものようにおばさんがいました。私は勇気をふりしぼって、
「おはようございます。」
と大きな声で言いました。すると、おばさんがにっこり笑っていました。私は心がとても軽くなった気がしました。さらに教室の入り口に立ってみんなにとどくように、
「おはようございます。」
と言いました。すると友達が、
「那奈世ちゃん、おはよう。」
とやさしく返してくれました。私は、とてもうれしくなりました。おばさんと友達にあいさつが言えたことで私は少し強くなれた気がしました。
 その日から私は自分からあいさつができるようになりました。朝のあいさつが気持ちよくできると、授業が楽しく受けられ、手もあげてみようと思うようになりました。自分からあいさつができるようになっただけなのに、体がとても元気になり、力がわいてきました。
 私は、あいさつはまほうだと思います。あいさつをすると自分も相手も笑顔になるし、一日元気に過ごせます。もし、あいさつができないでいる友達がいたら、私からあいさつをして元気にしてあげたいと思います。そして、私に元気をくれたあのおばさんのようなすてきな大人になりたいです。
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