【佳作】一人の思いやり   

大山小学校4年 杉原 ひなた
 
 私が一、二年生のころの話です。
 学校の休み時間、いつものように遊んでいるとき、男子から変な名前でよばれることがありました。変な名前とは、そのころはやっていた物語に出てくる悪役の名前でした。その名前で呼ばれると私は、「自分の顔が変なのかな。何が変なのかな。」と考えこんでしまいました。
 その日から私は、まわりのたくさんいる友達に自分から話しかけられなくなってしまいました。きっと、友達が自分のことをどう思っているのか不安な気持ちでいっぱいだったのでしょう。
 不安な気持ちを解決したくて、私は父と母に変な名前で呼ばれていることを相だんしました。すると父母は、私の気持ちをよくわかってくれ、なぐさめてくれました。なんだか安心しました。
次の日は、少しだけですが心が軽くなり、友達にも自分から話しかけることができました。でも、変な名前で呼ばれることは続きました。私は、「ちゃんとした名前があるのだから、そんなよび方はしないで。」と心の中でさけんでいました。
 不安定な私の気持ちは、イライラしたり悲しくなったりしていました。たえきれなくなったとき、私は自然に友達に話していました。
「わたしね、男子から変な名前でよばれていてこまっているんだ。」
 友達は私のとつぜんの告白にもかかわらず、真けんに耳をかたむけてうなずきながら聞いてくれました。実は、この友達も私と同じくからかわれていて悲しい気持ちになっていたのです。
 悪口を言う人たちは軽い気持ちでからかうのかもしれませんが、言われた私たちは、とても暗い心になってしまいます。「相手のことを考えた行動」とはよく聞きますが、実際のところ、子どもの私たちがどのくらいできているのか分かりません。
 私と同じように悪口を言われた友達は、いつも笑顔で私に話しかけてくれます。その笑顔を見ると、私はこの友達を大切にして、何かあったときには味方になっていこうと思っています。
 身近な人を大切にしようと心がけることがどんどんつながって、思いやりは世界へ広がっていくのだと思いました。
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