【佳作】難民に居場所を  

大玉中学校2年 渡邉 花音
 
 今、十八歳以下の子ども、千百万人が難民となっています。実に世界の子ども達の二百人に一人にのぼります。失った家族や戻れぬ故郷を想いながら、子ども達は異国の土地で、精一杯生きようとしています。「子ども達が生き抜くためのご支援をお願いいたします。」私はこの記事を読みました。この記事の上には、肌が黒く細い体の幼い子どもの写真がありました。見るだけでも悲惨な状態の子どもが世界に千百万人存在することを知り、言葉が出ませんでした。しかし、記事の下に「寄付」という言葉がありました。今この現実を多くの人に知ってもらい寄付することで助けることができるのなら、と思いほかの記事も読んでいく中でこんな話を見つけました。
 ある日、メリー・オペインさん十一歳の警察官だった父が武装勢力に連行されました。母はずっと前に亡くなっていたので、十六歳の兄と取り残されてしまいました。二人は街の中で幼い子どもとその母親がナタで殺されているのを目撃して、「このままでは自分たちの身も危険だ」と、最低限の食料と衣類などの生活用品を担ぎ、一週間歩き続けてウガンダ国境にたどり着きました。ここでは食べものや住むところをもらえたし、いつ殺されるかという恐怖はなく、安心できるそう。けど、すごくさびしい。ここにお父さんがいたら、もっとうれしいのに。今は難民居住区の学校で、一生懸命学んでいます。将来の夢は、医者など人を助ける仕事につくこと。知識を得るのはとても大切。仕事を得て自分たちだけで生きていかなければならないからと語ってます。
 自分の目の前で人が殺されていたら、しかも、父もいない。そんな状況でも、歩き続けて生きる場所を見つけたメリー・オペインさんの勇気は、私に頑張る時間を与えてくれました。平和のありがたさを教えてくれました。
 もう一つ、日本の学生が足りないであろう気持ちを難民の少年が語っていました。故郷のデリゾールという街から一年前トルコに逃げてきたアリさん十三歳。父はまだシリアにいるので、母さんと姉さんが仕立ての仕事をしていたけれど、だんだんお金が少なくなり、家賃を払えなくなったので、彼もパン屋で配達の仕事を始めた。でも朝六時から夜の九時まで働いても、もらえるのはたったの二百十円。だから道端のゴミ箱からプラスチックや木材を集めて売っていた。トルコ人の子ども達に「シリア人!」とからかわれたり、叩かれたりするのも珍しくなかった。でもAARから生活資金などの支援を受けるようになり、働かずに学校に行けるようになった。「友達もたくさんできたし、算数が大好き。学校は楽しいよ!」将来は数学の先生になりたいそう。
 十三歳という年齢で家族のために仕事をし、トルコ人の子ども達にからかわれたりしても諦めずに、友達をたくさんつくったアリさんに将来の夢をくれた学校。日本では学校に通うことが中学三年生まで義務として教育して頂けます。学校に通うことが当たり前だと思い学ぶ意欲も足りないのではないかと感じています。しかし、アリさんは、学校が楽しいと話しています。私は当たり前に両親がいて、安心して寝れる家もあり、なんのいわ感もなく学校に行く毎日が特別なんだと思いました。
 アリさんを支援してくれたAARという団体は、ウガンダで、南スーダン難民の子ども達のため、初等教育校の校舎を建設し、通学かばんを提供しています。また、民族間の対立が紛争の背景にある中、民族の異なる子ども達が安心して一緒に学べるよう、交流を深めるスポーツ大会などを実施しています。一方、トルコでは多くのシリア難民の子ども達が、仕事のない親の代わりに働かざるをえなくなり、学校に通えずにいます。AARは大人たちに就労を促進したり生活資金を援助することによって、子ども達が働かずに学校に行けるよう支援しています。AARのほかにも支援している国や人がたくさんいました。日本にも難民の人々が生活しています。たどり着いたらたまたま日本だったという人や入国しやすいからという人もいます。日本でくらす難民の人たちは難民認定・特別許可・仮放免または、もといた国への強制送還となります。難民として認められた場合は日本国民と同じ待遇を受けることが可能ですが、その人数はとても少なく、最低限の生活さえままならない人達がたくさんいます。私が特に難民の人達にたいして申しわけなく悲しい気持ちになった言葉が「まるで人間として扱われていない」ということです。
 私にできることは、日本にも難民の人達が住んでいることを受け入れ、生きる居場所をつくることだと思います。命を守るために母国を離れてくらす人々も同じ一人の人間として見ること。それが、今ある問題を解決する大事な役目だと思いました。また、私が学んだことは、学校へ通える楽しさと、自分の居場所があること、勇気を持つことを忘れないことです。
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