【佳作】一寸の虫にも5分の魂 一般部門 伊藤 善三

一寸の虫にも5分の魂
一般部門 伊藤 善三
 
 私は昭和十四年の生まれで、小学校は戦後の国民学校でした。教課書とノートも無く、上級生から借りて来て、障子紙に写してもらい使いました。食べるものが無いのが一番つらかったでした。昼はグランドで遊んでいて、何も食べない友達もいました。
先生も代用教員と呼ばれた、戦争体験者でした。質素倹約が大事な教育でした。
 そんな中で教えられたのは命の大切さでした。人間にも動物にも命があるように鉛筆一本にも消しゴムにもみんな命があるんだと。
戦争で何も無い中で戦い殺し合うみじめさ。極寒の中でのシベリア行軍のはなし。べんきょうよりも戦争の話しの毎日であったような気がする。小中学生のころの教育が今の私の私の生き方に大きな支えになっているような気がしてならない。
 家を新築したが、古い家の土台石を一つもすてることなくすべて宅地内に平庭のようにならべた。
先人が家をたてたときと思いの石、土台石。私はその石の一つ一つが私の今の自分を支えてくれているような気がしてならない。
 私は国民学校の先生の教えを今後一生の生き方の目標として生きて行きたいと思っています。
一寸の虫にも 五分の たましい