【優秀賞】何気ない一言に救われて 大山小学校5年 髙橋 はな

何気ない一言に救われて
大山小学校5年 髙橋 はな
 
 四年生の時のことだ。その日は、初めての委員会を決める日だったので、私は朝からワクワクしていた。「図書委員会に入りたい。」本が好きな私は、ずいぶん前から心に決めていた。しかし、図書委員の希望者が多く、じゃんけんで決めることになった。その結果、負けてしまった私は、憧れの図書委員になれなかった。あきらめて悩んでいた時、先生から、
「はなさんは、音読が上手だから放送委員に入ってみたら。」
とすすめられた。考えてもみなかった放送委員会。「えっ、どうしよう。」と思った時、周りの友達からも
「そうだよ。はなちゃんなら絶対できるよ。」と後押しされた。みんなから認められて、嬉しい言葉。しかし、心配性の私にとっては、とても重たくて、心が不安で一杯になってしまった。間違えたらとか、放送室で知らない人と給食を食べるなんてとか、次々にあふれ出す不安。これが私の欠点と分かっていても自分の力で心を整えることが難しかったので勇気を出して先生に伝えてみた。すると、
「大丈夫、大丈夫。」
と、案外あっさりとした返事だった。今思えば、先生の大丈夫の言葉には、「そんなに心配することはないよ。はなさんならきっとできる。」という励ましの言葉も込められていたのかもしれない。でも、あの時の私の心は、不安で一杯のままだった。
 初めてのお昼の放送の日。同じ班のメンバーが私以外、全員男子ということもあって、ドキドキが増し、涙があふれ出しそうになった。しかし、私が放送で話した後、六年生が「うまいね。初めてなのにすごいよ。」
とほめてくれた。その一言で、私の心はスッと軽くなり、今までの不安が一気に解消された。教室に戻ると、先生も
「はなさん、さすが。上手だったよ。」
とほめてくれた。私ならできると信じて背中を押してくれた先生に、感謝の気持ちで一杯になった。と同時に、先生の言葉には、深い愛情がかくされているということに気付くことができた。
 不安だった放送委員を経験することで、私はたくさんの人の優しさに気付くことができた。先生や友達のたった一言で私の心は救われ、前よりも力強く生きることができている。先日、道徳の授業で、子どもの権利条約というものがあることを学び、日々の生活が安全で安心できるものであるように保証されていることを知った。家族や友達、先生方。たくさんの人に囲まれて過ごす中で、自分の気持ちを話して相手に伝える喜び、分かり合える楽しさを、これからも味わいたいと思った。そして、多くの人の愛情に感謝する気持ちを忘れずに過ごしたいと思った。もし目の前に困っている人や不安な気持ちの人がいたのなら、あの時の先生や友達のように、今度は私が、前向きなまほうの言葉をかけてあげたい。