【優秀賞】たった一つの命 玉井小学校5年 後藤 美妃

たった一つの命
玉井小学校5年 後藤 美妃
 
 私には、八十七歳のおばあちゃんがいます。おばあちゃんは、部屋の端っこにあるイスにいつも、のんびり座っています。おばあちゃんは、器用なので、折り紙を楽しそうに折って、私に見せてくれます。こしが曲がっているので、歩くのはやっとだし、草むしりや畑仕事などは、とても大変そうで、いつも座ってやっているので、見ていてつらそうでした。
 時々、おばあちゃんは、ぼんやりコーヒーを飲みながら、
「ばあちゃんは、もう死ぬからいいんだけどさ・・・。」
と、私に少し笑いながら話しかけてきます。
「そんな、すぐには死なないよ。」
と、私は苦笑いをして言い返します。たった一つの命を自分で死なせているようで、私はそんなことを言うおばあちゃんが本当は嫌でした。「なんでそんなことを言うの。」と、本当は言いたいけど、おばあちゃんが悲しむと思い言えませんでした。
 少し前に、おばあちゃんは入院したことがあります。入院したおばあちゃんは、笑いながら、でも少し、さびしそうに、
「もう死ぬんだね。」
と言うと、一緒に行った家族に、
「もう、そんなこと言いなさんな。」
とおこられました。私は、なんでそんなに、「死ぬ」という言葉を使うのかと、聞いていて、さびしい気持ちになりました。
 そんなある日、「デイサービス」におばあちゃんが行くことになりました。そこでは、ぬり絵やゲームなどをして楽しく過ごすそうです。デイサービスに行く日、おばあちゃんは、朝早くから準備をして、バスを待っていました。バスが来ると、友達がバスに乗っていて、おばあちゃんはうれしそうに、友達に手をふって、バスに乗って行きました。
それからです。おばあちゃんは、いつもより明るくなりました。デイサービスでの出来事を楽しそうに話してくれたり、覚えてきたゲームを教えてくれたりします。前よりも、とても、よくしゃべるようになりました。そして、ぬり絵やまちがい探し、折り紙以外にも、いろいろなことに、自分から取り組むようになりました。友達との関わりが増えたことで、
「もう、ばあちゃんは死ぬんだから。」
という言葉を言わなくなりました。毎日が、とても明るく、楽しそうで、笑顔が増えました。
 私は、保健の授業で、「心の状態が良くなると、体の状態も変化する」と習いました。以前のおばあちゃんは静かで、歩くのがやっとでしたが、今は、よくしゃべり、外を散歩するようにもなりました。心の状態が良くなり、体も良くなったのだと思います。おばあちゃんが笑顔だと、私も笑顔になります。家族も笑顔になります。
 たった一つの命。おばあちゃんいつまでも長生きしてね。