【佳作】 認知症と人権

高校生一般部門 星野 裕二
 「子ども叱るな、来た道じゃ。年寄り笑うな行く道じゃ」けだし名言である。 
作者は不詳とされているが、あるお坊さんの教えらしい。犬山の寺の掲示板か永六輔が書き写したものとも言われている。 
 日本は高齢化しそれに比例して認知症や介護で悩むお年寄り、家族も増え続けている。 
 さて、世の中を見てみると、子どもや老人の人権を脅かす事件、問題がたびたび報道される。例えば、誘拐致死事件、ネグレクト、家庭内での虐待などである。 
 なぜ、このような問題、事件がたびたび起こるのか、どうすればこのような問題事件を未然に防ぐことができるのか。本論では認知症や介護が必要になってしまったお年寄りの人権を守るという観点から述べてみたいと思う。  
 私の母親は八十二歳で天に召された。その母親の口癖は次のものであった。 
「おら、長生きしたいけど、いびだれしいしい生きていたくない。」 
であった。その母も、晩年は脳梗塞により倒れ、もっとも忌み嫌っていた「いびだれ」の状態になり、介護を余儀なくされた。 
 脳梗塞により、認知症の症状も日に日に増した。「これが、俺の母ちゃん?」と首をひねりたくなるほど人格も変わった。寝たきりになった親の介護の厳しさがどれほどのものかも、身に染みた。
「母ちゃん、何やってんだい」
と怒鳴ってしまったことも正直あった。言った後、「認知症になった母が一番つらいのに俺は何をやっているのだ。」とその度に後悔した。そのころから、「病気やアルツハイマーが原因で認知症になってしまった高齢者に対して介護する側に人間はどのような心をもたなければならないのだろうか。」と考えるようになった。 
 しかし、その答えが出ないうちに母は他界した。その十数年後に私は、その答えを見つけることになる。

 昨年、私は「認知症予防脳トレ士」の資格認定講習を受けた。 
 そこで私は、脳科学の視点から認知症や介護についての様々なことを学んだが、なかでもこれから示す三つの条項が大変分かりやすく役に立つ内容であった。 
 ぜひ、多くの方々に知っていただき認知症で介護が必要になった高齢者への対応の参考にしていただきたいと思う。 
 まずは、「介護のあいうえお」 
 あ・・・あきれず、あなどらず、あわてず、あきらめず、あそびごころで! い・・・いやがらず、いじめず、いじけず、いそがせず、いきいきとして! う・・・うとまず、うれえず、うるさがらず、うずまらず、ういういしく! え・・・えそらごとにせず、えらぶらず、えんきりせず、えがおたやさず! お・・・おこらず、おごらず、おとしめず、おちこまず、おおらかに!
 次に介護十戒として次が示されている。 
(1)テレビにお年寄りを介護させない。(人が人を介護する。)(2)できるだけ自分でやるように仕向ける。(3)失敗を責めない。うまくできたらほめる。(4)何事も「ゆっくりリズム」で。(5)いやみや悪口を言われても受け流す。(6)その人の過去に合わせた介護を試みる。(7)生活環境を急に変えない。(8)「だめ、ダメ、駄目」は駄目。(9)自尊心を傷つけない。(10)一人で悩まず周りの人に援助を求める。
 最後に介護十則。
 (1)話を聞くときは、話の腰を折らずに終わりまで。(2)話は、手軽に、はっきりと丁寧に。(3)肩に手を置いたり、手を握ったり、どこか身に触れながら話す。(4)同じ話の繰り返しでも、聞く。(5)思い出話には共感しながら聞く。(6)歩きながら話をする。(7)手作業をしてもらいながら話をする。(8)思い違いをすぐには指摘しない。(9)忘れたら何回でも話をしてあげる。(10)一日一回は大声で一緒に笑う。
 「年寄り笑うな、行く道じゃ」お年寄りの人権を大切にするということはつまり、自分を大切にすることなのですね。  
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